レザーグッズへのこだわり ~製作過程や使用する道具などの紹介~

こんばんは、サークル Kuroneko の製作を担当している黒猫です。

今日はコンセプトレザーシリーズのこだわりや、製作過程などを書いてみようと思います。

 

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 一つの作品が出来上がるまでに、様々な段階や工程があります。

 

実際の製作に入る前段階として、

  1. デザインを起こす(デザイナー)
  2. デザイナーと相談しつつ、実際に革で作れるかの折衝
  3. デザインの決定(形・色・各パーツ・ステッチの幅や場所・糸の色など)
  4. デザインに合う革のやパーツの仕入(このシリーズは色の指定が細かいので、定番色だけでは表現出来ず、革屋を何軒も回ります。それでも見つからないことも多いです)
  5. 各作品に使う革の厚みを適切にする(漉き屋さんにお願いします。革の厚みは仕入れた段階では一定ではないので、厚みを揃える・デザインに合う厚みにする・逆に厚みの足りない革は、トコ革を挟むなどの工程を加えます。またスウェード革は薄い布状のものが多いので、あらかじめ裏張りをして強度とハリを出します)

 

革やパーツが揃ったら、ようやく試作段階に入ります。

 まずは型紙から

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  1. 型紙試作
  2. 試作型紙による試作品の製作(実際に本番と同じく作ります)
  3. 型紙修正
  4. 修正した型紙による試作品の製作(ここも本番と同じく作ります)

※稀に3、4の段階がなくてもいける場合もありますが、ほぼ型紙からの修正は入ります。ミリ単位での修正が三回・四回になることもあります。コンセプトレザーシリーズは0.5ミリ変わっただけで全体のデザインが崩れてしまうので、この段階にはかなりの時間と手間をかけています。)

 

正式な型紙の完成

 

 

ここで、ようやく作品作りが始まります。

作業工程などは過去記事にも上げましたが、もう少し詳しく書いてみたいと思います。 

leather-kuroneko.hateblo.jp

 

Ⅰ 型紙を厚みを揃えた革に移す

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主に使用する道具(関係ないものも写っています)

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革の吟面により、何を使用するかが変わります。 私は銀ペンは線が太くてズレやすいので、製本目打ちを使うことが多いです。

 

Ⅱ 革の裁断(数種類の革包丁を使い分けます)

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主に使用する革包丁の種類

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直線裁ちや曲線裁ち、凹凸部分の裁断などによって、革包丁を使い分けます。 革包丁は切れ味を保つために、こまめに研ぎます。

コンセプトレザーシリーズは微妙な曲線やラインのデザインが凝っているので、ただ直線で切ればいいわけではなく、さらにキーホルダーサイズの物が多いために裁断には気を遣います。小さいものほど、小さなズレがデザインを崩してしまいます。

 

Ⅲ ヒシメ打ち

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ヒシメによって後のステッチラインが決まるので、直線はずれずに真っ直ぐ、曲線は工夫しながら綺麗に打っていきます。革に菱型の切れ目を入れるので、少しでもずれてしまうとやり直しがきかない工程です。ここも、小さいもの・デザイン性が高いものほど気を遣う作業が続きます。

 

主に使用する道具

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ヒシメにも様々な種類があり、ピッチの間隔やステッチラインを表現するために何本も使い分けながら打っていきます。 

 

 

Ⅳ 蠟引き 

縫う前にラミー糸(苧麻という植物の繊維を撚った高級糸)に蜜蝋を染み込ませます。

これによって糸の強度が上がり、毛羽立ちを抑えます。

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蜜蝋を糸に染み込ませるために、ドライヤーなどで温めることもあります。

 

Ⅴ 縫い合わせ・飾り縫い

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画像は分かりやすいように、レーシングポニーを使用していないものになります。

普段はレーシングポニーに縫うものを固定し、両手に針を持って縫い進めていきます。上糸と下糸を交互に入れ替えながら縫う、サドルステッチという縫い方を使用しています。

コンセプトレザーシリーズでは、サドルステッチを崩さないように工夫して、デザイン部分を縫ったりしています。

端を縫い合わせると同時に、それがデザインにも直結しているので、端からのステッチラインの間隔や、曲線に縫う・十字に縫うなど、様々な技術を用います。飾りステッチが多いものほど、この工程には時間がかかります。

 

Ⅵ パーツ取り付け・カシメやホック打ちなど

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カシメやハトメの種類によって、工具が全て異なります。また、革に穴を開けますがその穴のサイズも異なるため、穴開けの種類も0.5ミリ単位で使い分けます。

 

主に使用する道具

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鋳造品は精度も切れ味も良いですが、作る職人さんが高齢なので揃えるのが大変でした。大きなサイズのものはやむなく市販品を使用しております。 

 

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打ち台は、穴の深いものと浅いものを使用しています。これは、おそらく古いロットのものが深く、最近のものは浅く作っているんだと思います。深い方の打ち台は、問屋の積んである箱の下から見つけてきました。

 

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ハトメ打ち等の工具も、サイズ・両面なのか片面なのかによって違う工具を使用します。この画像右の丸いものは、#200の片面ハトメを打つ専用のものです。

 

Ⅶ コバの処理・染色・仕上げ

コバとは側面のことで、ここを綺麗にするかどうかで完成度が変わってきます。丁寧に毛羽立ちなどを落とし、やすり掛け等をしてならしていきます。

また染色では、コンセプトレザーシリーズはコバの色も重要になってくるので、染色剤は定番色以外にもたくさんの色を揃えました。

 

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このようにして、ようやくひとつの物が出来上がります。

どの工程が失敗しても、やり直しとなるので慎重に進めていきます。

一つの作業に適した専用工具を使うので、道具の数はどうしても増えてしまい、手入れが大変です(汗

 

型紙が出来てからも、ひとつひとつ手作りしていくので納品までお時間を頂いております。また、イベント等に持参できる数も少なくなり、欲しいと言って頂ける方に頒布出来ない事が多くなってしまっています。

小さいながらもデザイン性が高いので、0.5ミリのズレは許容できません。作り直します。デザイン性を損なうことなく形にするには、とても根気と集中力を要する作業が続きます。

イベントでは頒布価格が高すぎる等のご意見を頂きますが、材料費もかかる上に、工程や作業量が多く全てが手作業なため、これ以上抑えてしまうとグッズ製作そのものを見直さなければならなくなると思います。

 

手に取って頂いて、満足して頂けるようなものづくりをこれからもしていこうと思っております。

他にはないデザイン・素材・技術をこだわって。

                  サークル Kuroneko 製作担当 黒猫

 

 

素材や技術的なご質問がありましたら、黒猫宛にお声かけ下さい。

 

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