【本革手縫い】 鳳翔レザーパスケース 製作話や素材など
今晩は、コンセプトレザーシリーズの製作を担当している黒猫です。
今回は日本初の空母、「鳳翔」さんのパスケースについてです。
デザイナーさんとの打ち合わせにより、「空母はパスケースでいこう」と決まってからの、試行錯誤が一番長かった作品です。現在瑞鶴パスケースも試作していますが、すべての空母パスケースの技術はこの「鳳翔」から始まったものであり、私にとっても初めての空母。思い入れのあるレザーパスケースです。
製作過程、素材などは続きからどうぞ
◆使用素材
表面・襟部分……牛革光沢加工・白色
・着物部分…牛革・中紅色
・袴部分……牛革型押し加工・濃紺色
裏面・牛革型押し加工・木製甲板色
中部分・シャンタン赤
使用糸
◆表面
伊達襟部分…ラミー(苧麻)エンジ色
襟部分………ラミー(苧麻)赤色
袴部分………ラミー(麻)紺色
白襟部分……ラミー(苧麻)白色
◆裏面(甲板部分)
着艦・発艦ライン…ラミー(苧麻)白色
◆外周…ラミー(苧麻)グレー
◆製作過程など
こちらは私が普段作成している通常のパスケースと異なり、技術的にも初めての方法を用いて製作しました。どうやったらこの色・デザインを表現できるのか。初めに思いついたのはカービング等で使われる「染色」です。しかし染色はいくらコーティングしても経年によって退色してしまうし、染色が出来る革はどうしてもアメリカンなロングウォレットに使用するような革になってしまい、鳳翔さんのイメージとは違ってしまいます。
悩みぬいた結果思いついたのは、複数の色の異なる革を組み合わせる、という方法でした。箱根の寄木細工がヒントになりました。その結果、通常のパスケースの約4倍(5メートル程度)の縫い糸を使用することになり、サドルステッチ・手縫い、糸の色換え含めますと、相当の時間がかかることになりました。
また、使用する革も複数枚揃えなくてはならず、なかなか大変でした(笑)
↑試作品画像
そうした試行錯誤の結果、ようやく出来上がったのが商品画像のものとなります。裏面の甲板部分のデザインは、発艦・着艦ラインをほぼ忠実にステッチで表現しています。表は鳳翔さんの着物と袴を複数の革・糸を使い分けて表現しています。パスカードを入れる部分には出し入れがしやすいように、シャンタンを使用しています。
構想から一ヶ月、ようやく完成した空母第一号艦「鳳翔パスケース」
今後もすべての空母パスケースの原点でありつづける存在です