革のお話 コンセプトレザーシリーズに使用している革について

こんにちは、クロネコです。

今日は革のお話とともに、コンセプトレザーシリーズに使用している革の特徴などのお話です。各製作品のページで使用している材料については明記していますが、今回はもう一歩踏み込んだ革のことを書こうかと思います。

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革は命を頂いている自然の素材なので、私は単なる素材以上の物として使わせて頂いています。

興味のある方は、続きからをどうぞ。

 

 

まず、革と言ってみなさんが思い浮かべるのはどんな革でしょう。

 

エルメス、ビトン、といったハイブランド。

アメリカンウォレットのようながっちりとした感じの物。

それとも靴や鞄といった漠然とした「革」のイメージ。

 

素材で分けるなら牛革が一般的ですが、ピッグやリザード、山羊や鹿など様々なものが存在します。

今回は主にコンセプトレザーシリーズで使用している牛革について、少しだけ掘り下げてお話しようかと思います。

 

まず原皮が革になるまでの工程は、大きく分けて三つのやり方があります。

①クロム鞣し

②タンニン鞣し

③コンビ

ここではそれぞれの特徴を簡単にまとめてみようかと思います。

(本当に個人的なざっくり説明なので、気になる方は「革・鞣し」で検索していただけると詳しいページが出ます)

 

①クロム鞣しですが、塩基性硫酸クロムというものを使って比較的早く鞣す方法です。

特徴としては、多彩なバリエーションがあり、色も豊富。撥水性が高いものが多く、スレや傷にある程度の耐性があります。そのため、艦これレザーシリーズには主にこちらの革を使用しています。経年変化しにくく比較的長期間、最初のままの姿でいることが出来ます。

 

②タンニン鞣しは、植物から出るタンニンという物質を使って鞣す方法です。昔ながらの製法で、加工に手間と時間がかかるようです。

定番色やタンナー(鞣す工場)が決めた色や風合いのものしか流通せず、国内生産は僅かです。そのため、多彩な色を組み合わせる艦これレザーシリーズでは色を揃える事が困難なため、使いにくい革をなっています。

ですが、昔ながらの風合いや経年変化による深い艶はタンニン鞣しならではのものです。その反面、傷が付きやすく水沁みもしやすく、普段使いしていてもスレや引っ掻き傷が付きます。それすらも味と思える通な方向けの革なのかなと個人的には思います。

 

③コンビは、最近になって流通するようになった感覚の革です。クロム鞣しとタンニン鞣しを併用して、ちょうど中間のような特徴を持つ革です。見た目や触れた感覚もタンニン寄りのクロム?といった感じで、純粋なタンニン鞣しよりは傷に強く、クロム鞣しよりは経年変化するという良いとこどりかつ、中間的な素材です。

 

私の知っている手縫い職人さんは、ほぼ全員「タンニン鞣し」の革を使用しています。個人的な感想ですが、職人はそれぞれプライドがあり、自分のやり方を突きつめていく方が多いと思います。

タンニンはやはり、通好みであり経年変化が楽しめ、クロムより扱いやすい場合が多いため、使う職人さんが多いのだと思います。

 

コンセプトレザーシリーズでは普通はやらない特殊な作り方かつ、色味がとても重要なものとなりますので、あえて手縫いでは扱いにくいクロムを使用しています。(一部、スウェードなど手縫いではほぼ使用されない革も使っています)

 

と、色々ありますが、革は命を頂いている大切な素材です。

私はこれからも、そのことを忘れずにひとつひとつ、心を込めて製作していきたいと思っています。