瑞鶴改二甲・本革手縫いパスケース作製 ~素材やお手入れ方法なども~
こんばんは、最近仕事が詰まっていてツイッターに現れない黒猫です。
今回は受注いただきました「瑞鶴改二甲パスケース」の記事となります。通常の瑞鶴は以前に作製しましたが、改二甲ver.は甲板デザインが新規となりました。
こちらは試作品の画像です。スカート部分に裁断した際の、革繊維がついていますね(汗
詳しい製作過程や素材・お手入れ方法などは続きからどうぞ。
瑞鶴、翔鶴はノーマル・改・改二・改二甲でデザインが変わりますが、今回はご要望のあった改二甲を製作させていただきました。
翔鶴型ノーマルver.はこちらです。
オモテ部分は大きな変更はなく、外周のステッチ糸を黒に変更のみです。比べてみると分かりますが、この変更だけでもノーマルよりシャープな印象になっています。
オモテ面は相変わらずステッチの量が多く、近くの縫い穴と繋がってしまわないようにヒシメを打つのに気を遣いました。特にスウェード部分は裏張りをしたり、実際に扱う際も繊細なため手間がかかりました。
裏面の甲板部分ですが、こちらは新規でデザイナーがデザインを起こしました。それを元に革で表現。
こちらはまったく印象が違いますね。甲板のラインがノーマルより長くなり、途中に黒のラインが入っています。ゲーム画面で見るとここまでは映らないのですが、全身絵を見ますと確かにこうなっていました。デザイナーのこだわりを感じます。
こちらの黒の革は新たに仕入れたクロムレザーです。一言でクロムレザーと言っても、吟面の処理の仕方が様々ありますので、デザインにあった革を探すのに時間がかかりました。
こちらはノーマルver.よりさらにステッチが増え、ヒシメを打つのに何本も異なった道具を使用しました。それでも全体として同じピッチに見えるようにもっていくのが、腕の見せ所でしょうか。
全体を通して、デザインを革で表現するために様々な工程がありました。普通のパスケースであれば、同じ時間で数十個出来るのではないかと思います。
デザインを表現しつつ実用できる物を作るとなると、どうしても工程が多くなってしまいます。一点一点全て手作業のため、受注いただいてから完成品が出来上がるまでお時間をいただいております。
また、翔鶴改二甲についてもご要望があれば製作出来ると思いますが、翔鶴はまた甲板のデザインが異なるので、デザイン・型紙作成からになります。
仕様素材
オモテ面
・胸部装甲部分・・・牛革オイル仕上げ
・スカート部分・・・ピッグスウェード
ウラ面
・着艦ライン部分・・ピッグスウェード
・甲板黒部分・・・・牛革クロム鞣し
内面カード出し入れ部分
・シャンタン
縫い糸
・ラミー(苧麻)蝋引き
お手入れ方法
胸部装甲部分
こちらはオイルを染み込ませた革ですので、使っていくうちにオイルが抜けていきます。そのままだと表面が荒れてきますので革用クリーム(無色)を少量すりこんで下さい。塗った直後は黒く変色したように見えますが、革が十分にオイルを吸うと元の色に戻ります。表面が乾いてきたなと感じたらお手入れ時期です。
瑞鶴の場合は胸部装甲部分とスウェード部分が隣接しています。スウェード部分にオイルが染みないように、縫い糸の内側までを目安に塗るのが良いと思います。
スウェード部分
こちらは起毛させた革ですから、時々ブラッシングして頂きますと長く起毛状態を保てます。油や粘着物が付くと変色したり毛が寝てしまって戻りにくくなりますので、ご注意ください。
黒甲板部分
クロムレザーですので基本的にはお手入れ不要です。撥水性があり、傷にも強い革です。一年に一度くらい革用クリーム(無色)を薄く塗ってもいいと思います。
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